介護職員初任者研修には、車いすを体験する講義があります。受講者の皆さんから、特に印象に残りました~、といわれる講義の一つです。
なぜか?
押すだけじゃなくて、車いすに乗せてもらう側の体験もあるんですね。そして他の人に押してもらって移動するんです。教室から出て、街の中で。
これが、コワイ。
車イスに乗った経験のある方って、少ないですよね。自分の意思では動けず、他の人にゆだねる、これが想像以上に怖いです。
「コワイ、コワイ! もっとゆっくり押してよ~!」
乗ってる人がよくいいます。
車が近くを通るのも、視線が低いためか立っている時より怖いです。歩道でも自転車が遠慮なくすり抜けていきます。自分の意思でよけられないというのは不自由を感じますね。
もちろん歩きスマホも向かってきます。コラコラ!前見て歩いてくれっ!叫びたくなりますよ。
段差があるところは、車イスを前かがみにしたり後ろを上げたりしなければなりませんが、これまた本当に怖い。身体がこわばります。
自分ではどうにもできない。どうしようもない。とにかく、押してくれている人を信頼して身をゆだねるしか方法がない。
そう気づきます。
そうか、車椅子に乗ってる人って、こんなに怖くて不安なんや。
だから、車椅子を押すときは、しょっちゅう声をかけてあげなきゃいけないな。段差やで、前かがみになるで、車きたで。
急いで押さず、ゆっくり、やさしく、やさしく。
そういうことを学ぶ講義です。